「異常気象」から身を守るために   /     「異常気象」から身を守るために(8) 災害を避ける方法(台風、豪雨、津波)

Description

交通事故や火災を防ぐことはできても、天災は避けられないような気もしますが、「やる気があれば避けることはできる」ということをまずは「非現実的などうか」を考えずに、整理してみたいと思います。私は「自分はそれほど複雑なことは考えられない」と思っていて、最初から「出来るかできないか」、「お金がどのぐらいかかるか」などは考えずに、「やるべきこと」を整理して、それからできないことを外すという方法を取ることがほとんどです。そのほうが頭が整理されて、方針がはっきり決まるからです。まず、台風の..

Summary

交通事故や火災を防ぐことはできても、天災は避けられないような気もしますが、「やる気があれば避けることはできる」ということをまずは「非現実的などうか」を考えずに、整理してみたいと思います。私は「自分はそれほど複雑なことは考えられない」と思っていて、最初から「出来るかできないか」、「お金がどのぐらいかかるか」などは考えずに、「やるべきこと」を整理して、それからできないことを外すという方法を取ることがほとんどです。そのほうが頭が整理されて、方針がはっきり決まるからです。 まず、台風の被害を避けるためには「台風が来たら休んで家にいる」ということです。今年(2014年)は二回これをやりました。一回目が台風8号で、仕事で石川県に行き、そこから沖縄の那覇に飛んで講演をして、東京へ向かうというスケジュールでしたが、やめました。二回目は台風19号で、名古屋から東京、東京でテレビ出演して大阪というスケジュールも調整して移動しました。 実際に先方に連絡して「まだ進路ははっきりしないけれど、この時点で計画をやり直したい」とお願いするとおおよそは大丈夫ですし、もちろん金銭的な損害はあるのですが、それに倍して安全や仕事の信頼性が大きいようです。 私の小さい頃の日本の家は貧弱で台風で窓ガラスが破れたり、屋根瓦が飛んだりしましたが、すでに現在では普通の台風では家が破損することはなくなりました。ですから、台風や豪雨で家の中にいて損害を受けるという場合は、1)低地に家がある、2)河川のそば、3)海岸線、4)遮るものがない高台、5)崖の下、などです。 かつては川が氾濫すると土砂を一緒に運びますから、低い土地に泥が貯まり、自然に「平ら」になっていったのですが、最近は堤防が発達して川が氾濫しなくなり、たとえ氾濫しても土砂を片付けてしまうので、低い土地は低いままになっています。まず「低いところに住まない」ということです(非現実的かどうかは別です。私はいつも少し高いところに住みます)。 次に川が氾濫した時に水が来ないようなところに住み、さらに海岸線から少し離れることです。川が氾濫して水があふれる場合、おおよそ1メートルを越えることはなく、また海岸では台風の時の風と雨、それに津波がありますから、標高で言えば10メートルぐらいあればOKということになります。 低いところがダメというと「高台ならOK」と思いがちですが、高台は風が強く、得てして崖くずれの多いところがあるので、崖の下とともに避けるのが賢明です。第二次世界大戦のあと、アメリカ軍が沖縄に来て、住民が谷間に住んでいるのを見て「せっかく景色が良いのに」と高台に宿舎を立てたら、最初の年の台風でアメリカ軍の宿舎が倒壊したという事がありました。 自然に逆らわずに、粘り強く住居を探すのは、その後の何十年がとても安心になり、これまでの私の経験ではそれほど地価に差があるとは思えません。崖の下でもそこから少し離れたところでも、「駅から何分」の方が土地の値段には影響があるようです。たとえ1分ほど長くあるくことになっても、安心して住める方が良いように私は思います。 川や海のそばではなく、少し土地の標高が高いところで、崖に近くないという場所に家を移動し、そこであまり火気を使わず、家の中を整頓し、出かけるときには「事故多発地点」をあらかじめ調べてそこに近づかないようにする・・・これで格段に安全になるでしょう。 台風や豪雨の被害をテレビで放送していても、自分のところは大丈夫という感じで人生を送ることはとても大切と思いますし、人口が減少していくのですから、徐々に危険なところの住宅を減らして、畑や公共施設にするような都市計画も必要でしょう。 (平成26年10月10日) 音声データ 武田邦彦のポッドキャスト一覧 武田邦彦のブログ

Subtitle
Duration
568
Publishing date
2014-11-05 22:00
Link
http://ijyoukishou.seesaa.net/article/408393163.html
Contributors
  武田邦彦
author  
Enclosures
https://ijyoukishou.up.seesaa.net/image/8.m4a
application/octet-stream

Shownotes

交通事故や火災を防ぐことはできても、天災は避けられないような気もしますが、「やる気があれば避けることはできる」ということをまずは「非現実的などうか」を考えずに、整理してみたいと思います。私は「自分はそれほど複雑なことは考えられない」と思っていて、最初から「出来るかできないか」、「お金がどのぐらいかかるか」などは考えずに、「やるべきこと」を整理して、それからできないことを外すという方法を取ることがほとんどです。そのほうが頭が整理されて、方針がはっきり決まるからです。

まず、台風の被害を避けるためには「台風が来たら休んで家にいる」ということです。今年(2014年)は二回これをやりました。一回目が台風8号で、仕事で石川県に行き、そこから沖縄の那覇に飛んで講演をして、東京へ向かうというスケジュールでしたが、やめました。二回目は台風19号で、名古屋から東京、東京でテレビ出演して大阪というスケジュールも調整して移動しました。

実際に先方に連絡して「まだ進路ははっきりしないけれど、この時点で計画をやり直したい」とお願いするとおおよそは大丈夫ですし、もちろん金銭的な損害はあるのですが、それに倍して安全や仕事の信頼性が大きいようです。

私の小さい頃の日本の家は貧弱で台風で窓ガラスが破れたり、屋根瓦が飛んだりしましたが、すでに現在では普通の台風では家が破損することはなくなりました。ですから、台風や豪雨で家の中にいて損害を受けるという場合は、1)低地に家がある、2)河川のそば、3)海岸線、4)遮るものがない高台、5)崖の下、などです。

かつては川が氾濫すると土砂を一緒に運びますから、低い土地に泥が貯まり、自然に「平ら」になっていったのですが、最近は堤防が発達して川が氾濫しなくなり、たとえ氾濫しても土砂を片付けてしまうので、低い土地は低いままになっています。まず「低いところに住まない」ということです(非現実的かどうかは別です。私はいつも少し高いところに住みます)。

次に川が氾濫した時に水が来ないようなところに住み、さらに海岸線から少し離れることです。川が氾濫して水があふれる場合、おおよそ1メートルを越えることはなく、また海岸では台風の時の風と雨、それに津波がありますから、標高で言えば10メートルぐらいあればOKということになります。

低いところがダメというと「高台ならOK」と思いがちですが、高台は風が強く、得てして崖くずれの多いところがあるので、崖の下とともに避けるのが賢明です。第二次世界大戦のあと、アメリカ軍が沖縄に来て、住民が谷間に住んでいるのを見て「せっかく景色が良いのに」と高台に宿舎を立てたら、最初の年の台風でアメリカ軍の宿舎が倒壊したという事がありました。

自然に逆らわずに、粘り強く住居を探すのは、その後の何十年がとても安心になり、これまでの私の経験ではそれほど地価に差があるとは思えません。崖の下でもそこから少し離れたところでも、「駅から何分」の方が土地の値段には影響があるようです。たとえ1分ほど長くあるくことになっても、安心して住める方が良いように私は思います。

川や海のそばではなく、少し土地の標高が高いところで、崖に近くないという場所に家を移動し、そこであまり火気を使わず、家の中を整頓し、出かけるときには「事故多発地点」をあらかじめ調べてそこに近づかないようにする・・・これで格段に安全になるでしょう。

台風や豪雨の被害をテレビで放送していても、自分のところは大丈夫という感じで人生を送ることはとても大切と思いますし、人口が減少していくのですから、徐々に危険なところの住宅を減らして、畑や公共施設にするような都市計画も必要でしょう。

(平成26年10月10日)

音声データ
武田邦彦のポッドキャスト一覧
武田邦彦のブログ